お彼岸の中日。台風一過の秋晴れ、各地。後始末に懸命の被災者。まるで沼の中から引き上げられてきたような家。泥を出し、洗い流し・・・。
大地震で倒れ、壊れた墓石は数知れず。近所の墓地も未だあの時のままといった光景。
今回の水害でもそうだった。あの地震の時もそうだった。避難が遅れた、避難しなかった。「ご先祖さまに申し訳ない」。一時帰宅の人がまず持ちだしたのは位牌。住めなくなった故郷を思う心の多くが、先祖代々の土地。「日本精神の研究」の究極の課題。死者への想い、位牌、墓。
お盆の時もそうだった。倒れたままの墓石に水をかけ花を手向けての供養。信仰という表現とはちょっと違う習俗。
亭主の家の墓は東京八王子。墓参ままならず。彼岸花を買い求め、仏壇へ。せめてもの供養、手向け。
水害や津波で流されてしまった墓も多いという。埋葬されている骨もどこかに沈んだ。
墓参かなわぬ原発避難区域の人達。仮設住宅の中に活けられた小さな彼岸花。
原発マネーというか電力マネーというのか。学者やメディアに「撒かれた」金、よくぞここまでと言えるくらいの「底なし沼」。
直接的ではないにしても、いや、あえてそういう「トンネル」や「迂回ルート」を巧妙に作って渡されていた金。
原子力賠償紛審査会の委員、学者に報酬が渡されていた。よくぞそこまでという感じ。
返納したと委員の学者は強弁する。審査に影響は与えないと強弁する。しかし、やはり中立性確保という審査会の在り方からすれば由々しきこと。なんであろうと被害者は審査会の結論に疑義を抱くは必定。その委員が「中立」の立場を貫いたとしても。
不信、不信、東電の対応に不信の連鎖が続いている時。賠償請求書類の高飛車な態度や強圧的言葉に怒りが湧き、突き返す自治体もある時、その書類に文部科学省の大臣までもが、どこまで本意かはわからないが、「問題あり」と言った書類。
審査会も文科省の管轄。ばれた以上、これら委員さまにはやはり退場願わねば。経緯は承知していたとも言われる。だから政府は信じられないと言われる。
もうこれ以上不信の連鎖が広がればどうなるのか。底なし沼に落ちたような「信」。
2011年9月23日金曜日
“チェルノブイリ”異聞
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