心療内科、ストレスクリニックに患者が引きも切らないという。知人の医者から聞いた。
津波の被災者、原発被災者。はかりしれない恐怖感とストレスを感じている。
目に見えない放射能との“闘い”。表で遊べない子供たちは、神経を病んでいる子がかなりいるという。肉体的症状に出る子もいる。
亭主が子供のころに使われていた言葉。「神経ハゲ」。
その親達も病んでいる。
クリニックを訪れる人の多くが睡眠障害を訴え、抑うつ状態の症状がみられるとも。高齢者は痴呆が進んでいるともいう。
住みなれた家や場所を離れて、慣れない土地や、狭い空間で暮らすことからくるストレス。
気心のあった友達との会話がなくなり、仮設で常に「隣」をきにしなければならない生活。
空間放射線量から、食べ物による内部被曝を気にしすぎるあまりのストレス。
無責任な、あらゆるメディアから発せられる“情報”の数々。
安定剤などの薬を処方すればいいのか、「話し」をじっと聞いてあげればいいのか。医師も苦悶しているという。
何事も無かったように「明るく、楽しく、笑い声の響くテレビ」にストレスを感じる人だっている。
この地で暮らす人達は、そろそろ「覚悟」を決めなければならないのかもしれない。放射能とともに暮らすと言うことの。
1マイクロシーベルトから20マイクロシーベルトの狭間で、どういう人生観や価値観を持って生きて行くかの。
無くなった家や家族への想いをどこで引き出しにしまえるのか。帰れない土地への想いをどこで立ち切れるのか。
あるかもしれない「内部被曝」による病気の発症のリスクと、ストレスによってすぐさま出てくる「さまざまな病気」のリスクとどちらを選択するのか。
だれも「正解」を持たない。
そして福島から医者が去っていく。医者、看護士。医療従事者が足りない。
“医療崩壊”、それも福島の現実。
2011年9月27日火曜日
“チェルノブイリ”異聞
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