ちょっと的外れな題名かもしれませんが・・・。
「とりあえず疑え」「裏をとれ」。新聞・テレビの取材記者の鉄則。それに瑕疵があると、とんでもない事態になり、みずからの「存在意義」をも失わせなかねないということ。
ここ数日のips細胞の“臨床応用治療”の騒ぎはその典型。とにかく、森口なんとかという医者もどきの発表したことはことごとくが「ウソ」だった。
馬鹿となんとかはどこにでも、いつの時代にも存在する。この“事件”が山中教授のノーベル賞受賞にとりたてて水を差すということではないはずだが。
日本と言う「国」に対しての、当の本人はもとより、マスコミの在り方について、国際社会から懐疑の念をもたれたことはたしかだろう。
最初、読売新聞の「大スクープ記事」を見た時、「なんか変だ」という思いを持ったことは確か。だって、山中教授自身が、まだ研究半ば、動物実験も終わってない、人間に適用するのはまだ先の話だと言っていたから。
共同通信がおっかけ。地方紙にはそれを掲載した新聞もある。わずか1日足らずで「ウソ」が露呈する。
読売が「特ダネ」。その扱いの大きかったこと。
バレてからも紙面を大幅に割いての言い訳、経緯の釈明。それを読んでいても、その取材、掲載のいい加減さが浮き彫りにされる。
“幸い”なことに、毎日、朝日は、同じネタの“提供”を受けながらも記事にしなかった。そして激しい読売攻撃。
言い訳記事の下の方に、小さくベタのお詫び記事。
いつものことだよね。その記事が誤報であり、眉唾ものであって、世間を騒がせても、お詫び訂正の「社告」は小さい。
だから、ネット族からはマスゴミなんて言われ、その信頼を自らが棄損していく。悲しすぎる。
「信なくば立たず」。マスコミにもあてはまる言葉なんだけど。
“劣化”という一言で済ませられる話ではない。
「福島」をめぐる話でも、この種の“誤報”は大なり小なりあったよな。それが“風評被害”を助長していると、これまで何回も指摘してきた。
マスコミ間の“競争心”の故なのか。「特ダネ」にあこがれる、その“根性”のせいなのか。そもそもの「体質」なのだろう。
塾でも何回かメディアリテラシー。情報リテラシーとうことについて話をした。
「情報はまず、とりあえず疑え。即座に反応するな。リテラシーという言葉の本義である、読み、書き、見聞きする能力をいうことからすれば、日頃から“学ぶ”ということの訓練をしていれば、その見分けがつくはずだ」と。「振り回されるな、一歩引け、時間を置いて考えろ」とも。「なるべく多くの知識を身につけておけ」とも。
「特ダネに価値は無い、ベタ記事に大きなニュースが隠れている」とも。
郡山にある桑野協立病院というところが、先月末にFTF、 FastTrack-Fibre
という内部被曝検査機を2,000万円かけて導入したという話が大きな話題になり、地元のメディアは取材に“参戦”。大きなニュースとなった。いわゆるホールボディーカウンター、WBCよりも簡単に短時間で内部被曝が検査出来ると言う外国の製品。
もちろん、これに“悪意”はなかったと思う。病院側がメーカーや代理店の“甘言”を見抜けず、プレスリリースをして、メディアがそれに飛び乗ったという図式。何の疑いも無く。
これに気付いた早野龍五という東大の物理学専門の先生が噛みついた。病院にまで出向き、話をして、それがWBCとは違う物と“認定”した。
導入されたという朗報。NHKは記者の体験レポートまでやって。“誤報”ではないが“虚報”ということになるだろう。
この話だって、学者も国も、どこも話題にしていない「機械」が突然登場した。それも桑野協立病院に。その時点で、伝える方にも、一種の身構えと、それの果たすことの信憑性、専門家の意見を取材すると言った「基本的姿勢」が欠如していたのだろう。
ある意味病院も“被害者”かも。メーカーや代理店と称するところの“商売”の餌にされたのではと。
この件についての伝えたメディアの後追いはおろか、早野説に対する反応も書かれない、報道されていない。少なくとも亭主は見ていない。聞いていない。
この機械による検査は無料だというが、“稼働”は来月からと言われているが、これとても、被災地では医療現場さえ、食い物にされているという現象の一つかも。
とにかく「信頼あるメディアの“復興”を祈るのみにて。