神戸で行方不明になっていた小学生の女の子。遺体が発見された。犯人は47歳の男だという。動機も経緯も犯人像も不明だが、「弱者」である小学生が大の男によって殺害されたということ。
子供が危害にあう事件が多い。かつては無かったかというとそうでもないが。
身代金誘拐も頻繁としてあった時代もあったが・・・。
「人さらいに気をつけいな」。祖母から毎日言われていたが、意に介せず遊び回っていた昭和20年代・・・。
我が家の近所の小学校に通う児童にも、「不審者がいる」ということで、保護者が同伴しているという。
盲導犬の刺傷事件もそうだ。大きな「野良犬」には決して手を出さない。抵抗しない盲導犬を刺す。
盲導犬を刺す。弱者である障害者を保護する“弱者の立場”にいる盲導犬。
子供が殺される。他人によっても、親の虐待によっても。
攻撃の相手は、刃を向ける相手は、おおかた弱者だ。強い者には刃向わない。弱者をのみ攻撃する。
そんな「空気」がこの国を覆っているような気がする。
今、この国にある「ヘイトスピーチ」なる現象もそうだ。この国に今住む「在日」は、やはり、人によっては名を隠し、出自も隠すという“弱者”なのだ。
ヘイトスピーチを繰り広げ、デモ行進して、終われば在日が経営するパチンコ屋に行っているとすれば、笑うしかない。
カウンターとよばれる人達がいるというが、攻撃対象にされている人は、大方反撃してこない。
「いじめ」だってそうだ。いじめる側は複数人数。いじめられる子は一人。
表層的なことだけで「弱者」を語ることに忸怩たるものはあるが・・・。
原発事故の避難者の扱い。避難解除区域が出来上がっていく。線量だけではなくいろいろな課題が未解決なのに。
解除後1年を目途に、東電からの「慰謝料」打ち切りの動きがある。月一人10万円。年120万円。船引や川内が該当していることだが。
おしなべて、避難区域の住民は、ある日突然「弱者」となった人達だ。誰が弱者にしたか。それ無しでは暮らせない電気の供給社、「強者」であり、「生殺与奪」の権を持つ東京電力だ。
なにがあろうと、電力会社は社会基盤の担い手として「強者」で有り続ける。
補償金の打ち切り。それは、生活再建がなったからと言うことでは無い。
強者の論理だ。
弱者がそれに抗する術は余りにも少ない。
世論形成の強者である新聞は書く。「賠償のお金は一時的に国が肩代わりするが、最終的には、東電が利用者からの電気代から支払う仕組みになっている」という結語。
「最終的には利用者の負担」といわれれば、誰しも値上げに異を唱える。下手をすると賠償打ち切り論に供給地の人達は加担することにもなりかねない。
弱者はどこまでも弱者で有り続ける。
弱者に向けられる刃。その根底には、たとえ一握りではあろうとも、強者であることを至上とする権力者の支配構造の思想があるからではないのか。
強者、強国、大国・・・。
弱者の側に立つ人達もかなりいるはずなのに。支援する人達もいるはずなのに。
それらの人すら「弱者」の側に追い込んでしまいそうな「空気」・・・。
「男は強くなければならない。強くなければ男ではない。しかし、優しくなければ男の資格はない」。そんなコピーが流布されていた時代もあったけど。
三船映画の全盛時代だったか・・・。
弱きを助け、強きをくじく。時代劇の永遠のテーマでもあったような。いや、任侠映画ですら。
2014年9月24日水曜日
“チェルノブイリ”異聞
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