与謝野晶子の詩の一節を引く。雑誌「青鞜」の創刊にあたって寄せたいくつかの詩。「そぞろごと」の中の一つ。
「山の動く日来(きた)る。
かく云へども人われを信ぜじ。
山は姑(しばら)く眠りしのみ。
その昔に於て
山は皆火に燃えて動きしものを。
されど、そは信ぜずともよし。
人よ、ああ、唯これを信ぜよ」。
安達太良に「本当の空がある」とうたった高村智恵子。
与謝野晶子のこの詩は山に喩えて女性の「自立」「権利確保」につながるものではああるが・・・。
「山はしばらく眠りしのみ」。御嶽山の大噴火災害を見て、喩えにしてもその感性に驚愕する。
きのう開かれた火山噴火予知連絡会で藤井会長は認めた。その「限界」を。
「今の段階で測ればわかるというものではない。予知連に予測しろと言われても術がない」。
藤井会長は川内原発再稼働にあたっても、規制委が地震のことを予測することは不可能だ」とも言っている。
科学者たちは自然に敗北した。そう“宣言”したほうがいいのかもしれない。
予知連があると言うことで、予知される、予告されると信じていた人達も大勢いる。それは不可能だと言われたということ。
科学は自然に屈服すべきなのかもしれない。
コンピューターを駆使して、数値を出し、数表を出しても、それを“あざ笑う”かのように自然は猛威をふるう。
3・11大津波。10Mの堤防は越えないということで作られた堤防。津波は越えた。
豪雨、広島の土砂災害。皆「想定外」の自然災害。
科学者たちは沈黙した。
原発事故。多くの科学者がその建設に参画し、多くの科学者は「安全」だとした。
その結果は・・・。
科学者たちの“英知”が生み出したコンピューター。パソコン。ネット。
パソコンはわずか20年の間に普及したもの。
今や、パソコンやスマホを持たねば就職活動も出来ないという。検索サイトに行きつけなければ。
科学技術の進歩がもたらしたものは何か・・・。
自然災害を目の当たりにして再考の余地は無いのか。
“観天望気”というのがある。長い間の言い伝え。
人間が住んではいけない地域があると、先人は言い残した。書き記した。
それを無視して、住まざるを得ないようになった人間社会。
例えばエベレスト、例えばヒマラヤ。最高峰の山に人は登る。登頂に成功する。
それを伝える言葉は「征服」だ。
とんでもない。征服ではないはず。頂上に上るために山は過酷な試練を課した。それを乗り越えた人が山頂に立つことが出来た。登頂に成功した人は、きっと山に感謝したと思う。征服したとは思ってもいまい。
科学と自然。共生だ共存だという問題ではないのかもしれない。
人間が考え出したことにはおのずから「限界」があるということ。
またどこかで山が眠りから醒めて動くのかもしれない。
2014年9月29日月曜日
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