すっかり秋の空の気配。
白い雲が漂っている。ゆっくり、ゆっくり動いている。
稲穂は黄金色に染まっている。
近所のビッグパレットからはイベントの音楽が流れてくる。
きっと大勢の人で賑わっているのだろう。
かつてはその渦の中に身を置いていたが・・・。
ビッグパレットという場所は「近寄れない場所」「近寄りたくない場所」になってしまっている。
避難所だったからだ。
郡山の開成山公園では風とロックと芋煮というイベントもやっているはず。あの金髪のお兄ちゃんが踊っているのだろうか。
夕方からは秋祭り。安積国造神社の。
神輿や山車が出て、屋台が出て人で賑わうはず。
その他もろもろ。秋の光景は「3・11」以前も、以後も変わらないような風情。
いつもの秋に戻ったということか。
元に戻る。いいことなんだけど。
なぜか賑わいの中に身を投じられない自分がいる。勝手に殻に閉じこもっているような。
どっかに感じる「わだかまり」。
いろんなイベント。「東日本大震災支援チャリティー」って“看板”掲げているのだろうか。
もういい加減にその“看板”は外して欲しいな。何のためのどこに対するチャリティーなのか。
屁理屈のようだが、その“看板”がある限り、普通には戻っていないってことなんだ。元には戻っていないってことなんだ。
しばし、空を見上げていた。山村慕鳥の詩が浮かんできた。吉野せいに影響を与えた山村慕鳥。
数日前か。テレビがやっていた。貧困の中の子どもの話。満足のメシが食えない家庭の子供のこと。いわゆる母子家庭。家族4人。一日の食費500円。
吉野せいの「洟をたらした神」が浮かぶ。ノボルの姿が。
お~い雲よ
ゆうゆうと
馬鹿にのんきそうじゃないか
どこまでゆくんだ
ずっと磐城平(いわきたいら)の方までゆくんか
ノボルはいわきの農家の中で芋を食って生活していた・・・。
作品の命題は「土」だった。土生きる農民だった・・・。
きょうの雲ものんきそうだ。磐城平に行く気配は無さそうだ。
雲を眺めながら安穏な日を送っていることに戸惑いがある。何をすることも出来ないのだが・・・。
心と空が溶けあわない。
またもALPSが不具合になったという。全く元に戻れない場所。
2014年9月27日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
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