テニスの錦織圭が全米オープンでスイスの強豪、ワウリンカを下し、ベスト4に進出した。快挙だ。
昔からある有名な言葉。
「ウインブルドンの観客は、グッドルーザー、悪びれない敗者に惜しみない拍手を贈る」。
錦織圭の快挙の裏に、そこはウインブルドンでは無かったが、“グッドルーザー”の姿を見た。選手本人の。
錦織圭の体を反転させてのリターン。見事に決まった。そのショットになんと相手のワウリンカ選手がラケットを叩き、拍手を送っていたのだ。笑顔で。
うん、君のプレーは素晴らしいとばかりに。
「美しい光景」だった。
錦織も素晴らしい。負けず劣らず、ワウリンカも素晴らしい。ワウリンカは敗者ではあったが勝者でもある。
厭なことばかりが溢れている昨今、いい光景を見せてもらった。
サッカーやラグビーの「ノーサイド」という精神もそうだ。試合が終われば勝者も敗者も無い。敵味方は無い。
高校野球でも時折、相手を称える光景を目にする。
グッドルーザーと意味は違うが、西洋には「ノブレス・オブリージュ」という言葉がある。高貴なるものの責務と訳して教わった。
さしずめ、こういうことなのだと思う。
「権力者が社会の模範となるように振る舞うべきだという社会的責任」と。
今、日本の「権力者」たちの振る舞いはいかがなのだろうか。
それは、政界だけではなく、他の所でも、権力者は、ただ、ひたすら権力をほしいままにしていると映る。
それが、ある種の「民主主義」なのかもしれないが、我々は、権力を持たしてはいけない人に権力を持たしてしまったのかもしれない。
そして権力者は権力というものがいかなるものかの自覚が全く無い。
「最高権力者は私だ」と豪語して憚らなかった人。それにへつらう人。
大方、歴史を見ても、権力者は、それを維持するためにあらゆる算段を使う。
下世話な話しだが。女性活用を“人気取り”に使い、組閣後の記念撮影では、自らの周りを着飾った女性閣僚に囲ませた。
総理の隣は副総理であるべきなのに。
醜悪な光景に映る。
まさか国会の雛壇の並び方も変えるつもりではないだろうと思うが。
西洋の言葉二つをもって、「国家の品格」とはなにかと問いたい気分だ。
そして錦織は、新たな「グッドルーザー」を生んでくれるのかもしれないと期待しつつ。
永田町には「グッドルーザー」はいなかったとも思う。
2014年9月5日金曜日
“チェルノブイリ”異聞
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