昔、あることでよく交わした言葉。「去るも地獄、残るも地獄」と。
福島県から県外に避難した子供が「いじめ」に会い、山梨では保育園への入園を断られたとか。
まさに、逃げる(放射能から)も地獄、残るも地獄と。
なんでこうなるんだろう・・・。
原発事故後、こりゃ「風評被害」来るなって思っていました。案の定。しかし、ここまで蔓延するとは。
子供に関することは、風評被害どころじゃない。もはや立派な「犯罪」の領域。「差別」の領域。
親は、逃げた、避けたという自分の判断を責めるだろうし。
風評被害・・・・。あまり好きな表現じゃないのですが。
被害者がいるってことは加害者もいる。しかし、この件だけは「裁判」にかけられない。
立証出来ないから。「被害者」は東電に賠償求めることしかできない。
加害者。その元は、やはりメディアなんだと思います。いろんなメディアがあるけど。悪意がある無しに関わらず。善意の報道も、時によっては加害者になっている・・。
もう再三書いてきたことですが。
テレビでやっていました。スキー場の光景。まったく人がいない。スキー場の支配人は、例年の10分の一だという。たしかに映し出される光景はゲレンデのみ。
ただ、これは中継の映像ではない。いつの映像か。レポーターはいつ行ったのか。土日はそこそこ入っていると、そこの人からは聞いているのですが。平日の早朝なら、お客がいないのはありうる。
もし、人がいたら・・・「おいおい、これじゃ意図が違うよ、絵にならないよ」。そんな”悪魔“のささやきがカメラの脇から聞こえてくるような。そういう勘ぐりする元テレビ屋。
見ていた首都圏の人は思うでしょう。みんな行かないところなんだから、行くの辞めようって。誰もいないスキー場なんてつまらないしと。
県内の人達はボードも含め、家族連れで行ってますよ。
「被害」を訴えるのは当然です。スキー場のみならず。でも、それを訴えて、それを伝えて、何かが解決されるのか。不安は不安を増幅させる。それが大衆心理。
そう、この大衆心理というやつも風評被害の元なんです。人の「不孝」を見て、聞いて、気の毒だとは思いながらも、深層心理ででは、それで自らの「安心」を確認している。
だからテレビにお願い。福島県で、普通に暮らしている人たちがほとんどだという、普通の姿を伝えてくださいよ。
たしかに6万人以上の人が県外に避難しています。それは数字として事実そのものです。でも、その数字を大きく伝えることが、かえって「福島は危険だ」という印象を増幅させる。
責める気はないけれど、避難先で、避難した人たちが「恐怖」を語る。それが、また、一つのイメージを作っていく・・・。
NHKのクローズアップ現代の避難マップの報道も、結果、そういう増幅作用を起こすものだったような。
データは事実。それをどう受け止めるかは心理。
極論すれば、風評被害という言葉が無くならない限り、風評被害は収まらない。
3・11以降ずっと思ってきたこと。「伝える」ということ。その難しさにメディアは改めて真摯に向き合ってほしいのです。
一年――。新聞の特集、テレビの企画。とかく「検証物」に行きがちです。もちろん検証も絶対必要だけど、現状、そう現状をどう伝え、どう打破するかにあらためて視点を向けないと。決して興味本位でやっているとは思はないけど。
「差別」に対して、メディアは事実を伝えるだけで事足れりとするのかどうか。
2012年3月3日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
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