この話は、多分、去年も書いたと思う。それを繰り返し、続きを書く。
CMは文化である。一応、民間放送に身を置いていた者として、それは、よくも悪しくも「文化」であると思ってきた。思っている。
去年、3・11以降、民放はCMを止めた。ノーCMは最長72時間続いた。
そして登場してきたのが、あの、ACC公共広告機構のCM。「ぽぽぽぽ~ん」。
アニメーション。犬が、ワニが、ウサギが・・・。挨拶するたび仲間が増えるよ。
当時は、あのCMを毛嫌いした。厭だった。なんでACが、なんで、こんな説教くさい・・・。
でも、あれは、悲惨な映像が、苦しむ人々が映し出される連日の「ニュース」の中で、もしかしたら、一服のお茶。間だったのかもしれない。張りつめているこころにちょっとゆとりを与えるような。
そして今は、あれが懐かしいとさえ思えるようになった。あの悲惨な出来事と表裏一体のもののような錯覚。
でも、あのCMが「絆」なんていうおかしな合言葉だけを与えることになったのかもしれないとも。
ACのあと流れ出したCMの中で秀逸だったのがサントリーのCM。サントリーのCMに登場したことがあるタレントや歌手71人が皆で一斉に歌っていた。
自然発生的に生まれたのだという。ノーギャラでの出演。
「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」。坂本九が歌った歌。昔、聞いた逸話。あの二つの歌は東北地方への応援歌だということを思い出していた。
そして、そのCMを聴く度に泣いた。何度も泣いた。
そして、塾生たちと一緒に、長淵剛の歌とともに歌った。泣きながら・・・。
CMはキャチコピーも含めて、その時代を反映し、優れたメッセージを送り、その時代を短い時間ながら、鋭くえぐる。
トリスを飲んでハワイに行こう!。そうその頃はハワイ旅行は♪あこがれのハワイ航路♪。夢だった。
おお、モーレツ~~。ガソリンは経済成長の原動力だった。
そして、モーレツからビューティフルへ。価値観の変化。
醜悪なCMは、その時代が醜悪であるということの象徴。
そして2012年春。サントリーがまたまたぶっぱなしてくれた。めったに見られないが90秒バージョンのCM。
木村拓哉と香取慎吾の二人に、過去の名優が映像で次々登場する。昭和から平成へと。
当時の世相を映した映像に、二人がオーバーラップし、いいセリフを繰り出してくる。バックに流れる音楽はビートルズのヘイジュード。
「ある人が言った。日本の成長はビールとともにあった、と」
「経済が発展するにつれて、日本中の人たちが、ビールのおいしさを知り、暮らしのいろいろな場面で、ビールを楽しむようになった」。
「でも、時代は変わり、いつしかビールは仕事のストレスを流すためのものになってしまった」。「たしかに仕事の後の一杯はうまい」。
「でも、それは、本当のビールの居場所ではない」。
「そう、ビールは大切な人と飲むほうがもっともっとうまい」。
「人と人とを繋ぎ、時には勇気づけ、時には慰め、幸せを後押して、何気ない日を輝かせる。それが本当のビールだ」。
2012年春、ニッポンにもっと輝きを。
このCMも“応援歌”だと思う。時代は変わったのだとも。
ビールはエビスが好きです。たしかにうまい。サントリービールはあまり好まない亭主。
でも、時々はサントリープレミアムモルツを買ってこよう。それが置いてあり店では飲んでみよう。良いCMに乗せられてみるのも悪くはない。
くだらない政局に乗せられないよう注意しよう(笑)
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