きょうから変わったものの一つに食品の安全基準値がある。500ベクレルを100ベクレルに。アメリカの基準よりも何十分の一も厳しい基準。
“緩やか”な安全基準のアメリカで放射線による内部被ばくがあったという例は聞かない。伝えられていないだけなのか。
東北の、北関東の第一次産業従事者は、過酷な“環境”を強いられる。「安全なものを提供するために努力する」。それしか言えない。
誰のための厳しい安全基準なのか。偏った見方と思われるかもしれないが、あり得ない「ゼロリスク」を求めて、大きな声を出している人への配慮の結果とも思えてならない。
郡山の知人の事を書く。書かずにはいられない気持ちになったから。
まだ30代の父親である。懇意にしている。彼の家族は妻と娘と息子。娘は今年小学校にあがる。
原発事故後、2週間程して、妻と子供は新潟に「自主避難」した。彼女の友人の誘いがあって。越後湯沢のホテルに行き、今は新潟市内のアパートに暮らしている。3DK。
彼は家族と一緒にいたかった。毎週、湯沢に通い、市内に通った。一緒に居たい。彼は意を決して社長に願い出た。転勤を。横浜にある支社への。社長は、それを苦悩しながら認めた。
彼が持つ郡山の家は建ててからまだ間もない。その家を貸して横浜で暮らすことにした。
妻がやっと横浜に「下見」に来た。線量計を持って。測ったところ、新潟よりもちょっとだけ高かった。彼女は横浜暮らしを拒否した。娘の学校は新潟市の学校への手続きをとった。
横浜で“単身”で暮らしながら、待つこと3カ月。出された結論は、まだまだ別居・・・。
今日電話してきた彼は言う。「壊れそうです」と。それは自らの精神状態でもあるし、家族の在り様も指す。
彼は言う。「ママ友の存在は大きいです」と。来週、彼は新潟に行く。横浜から車で。娘の入学式。そのあと郡山に来るという。僕と話がしたいという。仲間とも会いたいと言う。
彼に何と言ってやればいいのか。悩んでいる。話の成り行きでいくしかないと。
高速無料化は終わった。彼の出費も大変だ。彼は家族の「つながり」を維持しようと懸命なのだ。仕事に影響しなければと思う。
こんな新聞記事を見た。長野県に自主避難している家族のところに帰る道すがら、いわき市の男性が高崎の上信越道で交通事故を起こし亡くなった。
昨夜、ETV特集に目を凝らしていた。ネットワークで作る汚染マップ。3・11から3.16、いや20までのデータによる放射能の飛散状況。汚染マップ。計算上では子供の甲状腺被ばくも可能性としては考えられるという。そうだろう。
良い番組だ。調査報道だ。番組に瑕疵も作為も感じなかった。でも、あれを見た人たちが、どう解釈するのか。3・15日。いわきから茨城に流れたプルーム。ヨウ素。
“事実”を知れば知るほど、壊れていくものがあるのかもしれない・・・
2012年4月2日月曜日
“チェルノブイリ”異聞
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