まったく一年前と同じ光景のよう。きょうの新聞見ても。
政府の原発めぐる混迷。あの三百代言の枝野。相変わらずのマスコミの「誤報」「虚報」。それをリツイートしまくるツイッター族の無リテラシー野郎ども。シェアしまくりのFB族・・・。ツイッターの相変わらずのデマ、ヒステリー文字・・・。
柔らかい話題にしてみます。
「たとえば、愛」。もう30年以上も前に高視聴率を獲ったTBSのドラマ。大原麗子と原田芳雄、津川雅彦が出演したドラマ。脚本は倉本 聡。
倉本 聡の脚本はその多くが本になって出版されている。昔、そのほとんどを買って読んだ。そして、今も持っていた。
「3・11」後、言葉を探した。言葉に救いを求めた。いろんな本を読んだ。被災地のルポからドキュメントから、原発に関する本まで。被災地の様子を活字を通して見聞することは出来た。原発本からも、それなりに“知識”を得たが、“歴史”も再確認したが、求めているものではなかった。あの詩人のわめき声は聞きたくもなかったし、宗教家の語る死生観も、「覚悟」は呼び覚まさせてくれたけど、「壊れそうな心」を埋めてはくれなかったような。
夏ごろ。一冊の本に出会うことが出来た。歌人の永田和宏と河野裕子との句集。「たとえば君」。
前年、癌で亡くなった河野裕子を看取った夫の永田が作りあげた「愛の相聞歌集」。河野の句があり、それにこたえる永田の句があり。
冒頭は河野の句。「たとえば君 ガサッと落ち葉すくふやうに私をさらって行ってはくれぬか」。永田の返歌。「きみに逢う以前の僕に遭いたくて海へのバスに揺られていたり」。
多くの歌とそれにまつわるエピソードが数多く記されている。
そして、河野の最後の一首。「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」。河野の死後に詠まれた永田の挽歌。「女々しいか それでもいいが石の下にきみを閉じこめるなんて出来ない」。
そして本のあとがきに永田は最近作った一首を書いている。
「わたしは死んではいけないわたしが死ぬときあなたがほんたうに死ぬ」。
「3・11」後、短歌を詠む人が増えているという。たしかに、避難所や仮設や避難先から詠まれた歌が多い。自分の思いを、長い文章にして書くのでなく、たった31文字に言葉を凝縮させて語る・・・。それが日本人の長年つちかってきた文化のゆえんからだろうか。
永田は朝日歌壇の選者をつとめている。永田が選んだ最近の数首。
「もう一年まだ一年かサイレンの鳴るふるさとや二時四十六分」
「きっちりとそと遊び終える一時間日課となりぬふくしまの子は」
「ただ単に“賞味期限”の表示なのにドキッとして見る3・11」
「スカイツリー建ちて賑はふ下町も死者の溢れし空爆の跡」
なぜ、冒頭で「たとえば、愛」と書いたのか。主演の大原麗子の職業は深夜放送で人気のディスクジョッキー。
最近、TBSラジオの人気パーソナリティー、「キラ☆キラ」の小島慶子が降板した。その小島のインタビュー記事を読んだからか。
小島と大原麗子はちょっと面影が似ているような気がする。だから、たとえば、愛を思い出したのかも。
倉本 聡が被災地に、津波に流された跡に立っている姿を見た。彼は、何かを書くのだろうか。
短歌は詠めない。しかし、それらを読む気になり、読めたことが「こころの隙間」を埋めてくれているような気がして・・・。
“チェルノブイリ”異聞
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